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RMFJ株式会社
久藤 樹
出光興産株式会社にて潤滑管理業務に従事後、現在はRMFジャパン株式会社テクニカルコンサルタントとしてセミナーやコンサルタントを実施している。
資格:技術士(総合技術監理部門、機械部門)
機械状態監視技術者(振動カテゴリーⅢ・トライボロジーⅢ)
著書:「基礎から学ぶ潤滑管理」(潤滑通信社)
「一から学ぶ工業潤滑剤」(日刊工業新聞社)
今回は、潤滑管理についての基本的な内容をQ&A形式で紹介します。
〔Q1〕正しいグリースアップの手順を教えて下さい。ポイントは何ですか?
図1に、グリースアップに関するよくある質問を示します。

図1 グリースアップに関するよくある質問
1.グリースガンによる手動給脂
グリースガンには、手動式の他に電動式や圧縮空気を使用するエア式もありますが、ここでは、グリースガンによる手動給脂について述べます。グリースガンによる手動給脂は、給脂時に潤滑箇所を直接観察しますので、異常の早期発見に有効です。デメリットは、給脂忘れのリスクがあることです。近年、グリースアップ作業は、協力会社が請負で実施することが多くなっています。このような場合には、マニュアルを整備するとともに正しいグリースアップ作業を協力会社の社員に指導する必要があります。参考にモーターへのグリースの給脂手順を図2に示します。

図2 グリーンスガン(手動)による給脂手順
(1)手動による電動モーターへのグリースの給脂手順①グリースニップルを点検し、損傷のあるものや汚れがひどいものは新品と取り替えます。グリースニップルの汚れは、きれいに拭き取ります。
②グリースの排出口のあるものは、必ず排出口の蓋を外し、内部を点検します。ドレーンプラグのあるものはドレーンプラグを外します。
③グリース充填前の軸受の状態を聴診棒で確認します(必要に応じ、振動レベルを測定します)。
④新グリースが排出口から排出されるまで、グリースガンをゆっくり操作して新グリースを充填します。
⑤グリース充填後の軸受の状態を聴診棒で確認します(必要に応じ、振動レベルを測定します)。
⑥排出された古いグリースを点検します。排グリースは軸受の損傷状態を判断する材料になります。排グリースを鉄粉濃度計により、鉄粉濃度を測定します。
⑦グリース充填後は、排出口からの汚染を防止するためにグリース排出口の蓋やドレーンプラグを閉じます。
⑧汚染管理のために、グリースニップルには蓋を取り付けます。
(2)手動によるグリース給脂の留意点
①グリース給脂は,汚染された古いグリースを押し出す目的もあるので、排出口から新グリースが出てくるまで充填します。
②グリースを規定量グリースアップするために、グリースガン1ショットで何gのグリースが排出されるのかをあらかじめ測定しておくことも必要です。1ショトで、1gのグリースが排出されるなら、30ショトすれば30gのグリースが充填されます。
③図3に、排出グリースの観察事例を示します。排出されたグリースは、軸受内部を通過しているので、この排グリースを診断することで、軸受の内部の損傷状態が把握できます。排出グリースの鉄粉濃度を鉄粉濃度計で測定することにより、軸受の摩耗が推定出来ます。

図3 排出口の開放と排出グリースの点検
(3)グリースニップルの統一①図1に示すようにグリースニップルには、ダルマ,ピン,ボタンタイプのニップルがあり、それぞれの形状に合うノズルが必要になります。グリースニップルを1種類に統一することにより、グリースガンの種類を少なくすることができます。
②ダルマタイプのニップルは、グリースガンをニップルに押し付けて使用します。押し付けたグリースガンが滑ってニップルから外れると危険です。ピンタイプのニップルは、はめ込んで使用するので、ピンタイプに統一したい。
③また、グリースの給脂間違いを防止するためにリチウムグリースを使用している潤滑箇所には、ダルマタイプのニップルを使用して、ウレア系耐熱グリースを使用している潤滑箇所には、ピンタイプのニップルを使用する等使い分けると誤給脂の防止になります。
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